
第7回「青年社会活動コアリーダー育成プログラム」
青年社会活動コアリーダー育成プログラム(以下、コアリーダー事業)は、高齢者関連、障害者関連及び青少年関連の各分野において社会活動に携わる日本青年を海外へ派遣し、また海外の民間組織等で社会活動の重要な役割を担っている青年リーダーを日本へ招へいするという相互の交流を通じ、(1)社会活動の青年コアリーダーの能力の向上、(2)相互のネットワークの形成を図って平成14年度から開始された事業です。今号では招へいプログラム中の地方プログラムについて紹介します。
平成20年 11月9日~18日 |
派遣事業・派遣先:英国(高齢者分野、9名)、ニュージーランド(障害者分野、9名)、ドイツ(青少年分野、9名)・派遣事業の参加青年は、派遣後、地方プログラム、NPOマネジメントフォーラム等、招へいプログラムの実行委員として 受入れに協力 |
平成21年 2月3日 |
招へい青年来日 ・英国(11名)、ニュージーランド(12名)、ドイツ(12名)からそれぞれ3分野の青年リーダーを招へい |
2月4日 |
開会式・オリエンテーション・基調講演・歓迎会 ・日本のNPO事情及び高齢、障害、青少年の各分野の現状について、基調講演を実施 |
2月5日 |
課題別視察 ・NPOマネジメントフォーラムのディスカッションテーマ(トピック1~3)に即した施設を 訪問し、実際の現場の視察及び関係者との意見交換を実施 【トピック1:組織運営マネージャー育成への取り組み】 AM:社会福祉法人杜の会SELP・杜 PM:特定非営利活動法人ETIC .【トピック2:事業運営マネージャー育成への取り組み】 AM:社会福祉法人慈生会特別養護老人ホームベタニアホーム PM:社会福祉法人東京コロニー 【トピック3:ボランティアをまとめていくリーダー育成への取り組み】 AM:特定非営利活動法人自立の家 PM:財団法人修養団 |
2月6日~8日 |
NPOマネジメントフォーラム ・「NPOにおける人材育成のあり方」を総合テーマに、上記トピック(1~3)に基づき、 日本のNPO団体関係者とともに討議を実施 |
2月9日 | 自主研修・日本文化体験 |
2月10日~15日 |
地方プログラム ・高齢者、障害者、青少年の各分野(コース)に分かれ、以下のコーステーマに沿ったプログ ラムを実施。関連施設を訪問し、NPO及び各分野の関係者と共に地方セミナーを実施 【高齢者】島根県:生きがいのある高齢者の生活 【障害者】宮崎県:障害者の社会参加のための支援 【青少年】和歌山県:ユースワーカー(ユースリーダー)の育成の在り方 |
2月16日 | コース発表会・評価会・歓送会 |
2月17日 | 招へい青年帰国 |
高齢者コース【島根県】

島根県受入実行委員
国際ネットワークしまね事務局次長
内田 真理子
青年社会活動コアリーダー育成プログラム高齢者コースとして、私たちは「生涯現役で生きがいを実現できる社会へ~年齢を重ねることへの価値を知る~」を島根県でのプログラムテーマとし、2月10日より6日間の外国参加者の受入れを行いました。
総人口の3割近くを高齢者で占める島根県にとっては絶好の事業でした。島根県から派遣プログラムに参加した3名から出されるプログラム案には三者三様のものがあり、実行委員会で話を聞いているだけでも、わくわくするような内容でした。
ただ、テーマである「生きがい」が幅広い意味を持つため、島根県でのプログラム内容がなかなか決まりませんでした。それぞれが仕事を持ち、限られた準備期間の中で、「このプログラムの主旨は何なのか」と根本的なところを実行委員全員が一致した見解を持つに至るには、あまりにも時間が足りなかったように思います。最終的には、派遣プログラム参加青年には、「招へい者に何をしたらいいのか」ではなく「自分たちが招へい者から何を引き出すか」に焦点をあてプログラム内容を準備してもらい、他の実行委員は全力でそれをサポートする、という意思確認をとりました。
初日の県庁訪問に始まり、NPO法人「コミュニティサポートいずも」、松江市社会福祉協議会、松江市法吉公民館にて、それぞれ施設訪問・体験、意見交換、話しきれなかった内容は地方セミナーの時間をとり、派遣プログラム参加青年の進行による現職同士のディスカッションを行い、また1泊2日のホームステイもあり、スケジュール的には無理のない充実した内容のプログラムを作りました。
日程 | プログラム |
2月10日 |
県庁表敬訪問、島根県健康福祉部による高齢者福祉施策について講義、歓迎会 |
2月11日 | コミュニティサポートいずも |
2月12日 | 松江市社会福祉協議会、松江市法吉公民館 |
2月13日 | 地方セミナー、ホームステイ |
2月14日 | 歓送会 |
2月15日 | コース評価会 |
私自身は、期間中1日しか同行できませんでしたが、連日プランニング通りにスムーズに執り行われ、実行委員から「ディスカッションも順調だった」と聞き、「日本人の話が少なかった」という報告もありましたが不安は取り越し苦労だったとほっとしました。歓送会での島根県の伝統芸能体験は大いに盛り上がり、スタイル抜群の女性参加青年が「どじょうすくい(男踊り)」をがに股で踊る姿はとても印象的でした。ホストファミリーからも好評で、数日前に出会ったとは思えないほど、温かい空気が会場を埋め尽くしていました。
このプログラムに携わったことで、実行委員の中心となった国際ネットワークしまねは、今までの単なる受入れ、おもてなしのみにとどまらない、国境を越えての情報収集、あるテーマに基づくゴールの設定とそれに向けて相互模索ができる団体に近づけたのではないかと思います。
しかしその後の振り返り会の内容は、少し厳しいものでした。「意見交換会ではやはり外国青年の発言が目立った」、「プログラムの過去の実績や、参加国の制度について事前に知っておきたかった」、そして「この招へいプログラムで日本側が何を得るのかもう少し明確にできたらよかった」という意見を受けた時、まだまだ改善点が多々あることを感じました。
打合せの段階に感じたことは、このプログラムの自由度が高い分、ある程度専門知識を持ったアドバイザーのような方、または機関のかかわりが必要だということです。派遣プログラム参加青年がもっと主体性を持ってプログラムを進めていけるように、出てきた提案を同じ専門的立場から後押ししたり、テーマを落とし込むための質疑応答を繰り返せるような環境をこちらで手配したりできていたら、より派遣プログラム参加青年の特色をいかせたプログラムに仕上がっていたのではないかと感じています。
派遣プログラム参加青年以外の実行委員がどうしても運営面の準備に時間をとられる分、プログラム内容についての窓口をもう一つ設ける必要があったのではないかと、実行委員からも提案がありました。
ただ、派遣プログラム参加青年のみなさんは既参加青年になられることで、プログラムがこれで終わりではなく、ここからが本当のスタートになることを実感されると思います。築いたネットワークを大いに利用して、期間中引き出すことができなかった不足部分を、時間に囚われることなく補い、次回は例えばアドバイザーとして活躍していただけた時、やっと成功だったといえるのではないでしょうか。きっとそうなることを信じようと思います。

