
平成20年度日中韓青少年交流事業
平成20年度日中韓青少年交流事業〈文化交流コース〉
文化交流コース:伝統文化の継承
Cultural Exchange Course: Carrying on Traditional Culture into the next Generation
グローバル化が進む現代においては、ともすると流行や新しい価値観にとらわれ、自国の伝統文化を軽視する傾向が見受けられます。しかしながら、情報の流れが速くなり、ボーダレスな社会であればこそ、互いの価値観の違いを受け入れられずに様々な衝突が起きている今だからこそ、お互いの違いを認め合い尊重しあうことによって、人類の繁栄と世界の平和を保っていく努力をするべきなのではないでしょうか。
それぞれの国で長年培われてきた伝統文化には、それぞれの文化が引き継いできた価値観が含まれています。自国に引き継がれてきた文化について、改めて認識を深め、そして他国の人々に紹介するとともに、他国の文化、風習を学び受け入れる寛容性こそが、相互理解を進め、互いに尊重しあうことができるでしょう。
ここでは、日中韓の青年たちが、互いの伝統文化を基本にして自国の文化を紹介しあいながら、互いの文化の精神を理解するとともに、いかに次世代に継承していくか、文化交流を通じた相互理解の促進にいかに貢献できるかなどについて話し合います。
G・H・I グループ
課題別視察 裏千家東京道場
平成20年9月18日(木)~19日(金)、文化交流コースを選択した日本青少年31名、中国青少年32名、韓国青少年32名で「伝統文化の継承」をテーマにディスカッションをしました。
コースのテーマに沿い、互いの伝統文化・文化体験の共有からはじめ、最終的には文化交流を通じた相互理解の促進に青少年がいかに貢献できるかについて意見をまとめることをねらって、ディスカッション・リーダーを中心にディスカッションが進められました。
最初に全体でディスカッションの流れの説明、ディスカッション・リーダー12名(日本6名、中韓それぞれ3名ずつ)の紹介をした後、3つのグループに分かれました。グループ内で、ディスカション・リーダーが工夫した自己紹介をしたあと、ディスカッションのゴールデンルールを自分たちで決めて、2日間のディスカッションの中での注意事項を確認し合いました。
午後は、課題別視察先の裏千家の紹介ビデオ鑑賞をした後、3つのグループから、さらに小グループに分かれて「自分がかかわったことのある自国の伝統文化」を他国の青少年と共有。そこから「文化の精神(文化とは何か)」についてのディスカッションへ発展させました。文化はその国のアイデンティティーであること、自分の文化を知ることで、自国の背景を知り、他の文化を知ることで、その国・背景を知り、それを切り口に相互理解を深めることができる等、活発な意見交換が行われました。
その後、「文化交流を通じた相互理解の促進に、自分たちならどのように取り組むか?」 というトピックで、小グループごとのブレーンストーミングを行い、意見を出し合って、翌日のまとめの準備をしました。



2日目は、400年続く日本の伝統文化の代表格である裏千家を訪問しました。日本人でもなかなか訪問することのできない裏千家東京道場での茶道体験に、青少年たちは感銘を受けるとともに、裏千家の伝統文化を通じて、異文化、異世代間の相互理解を深めるための活動の紹介を受け、それらを自分たちの活動のヒントにしていたようでした。
午後には、ディスカッションのまとめのため、「文化交流を通じた相互理解の促進に、青少年はどのように貢献できるか」についてグループごとにまとめ、文化交流コース全員の前で発表して、ディスカッション内容を共有しました。日中韓青少年交流事業のような交流事業を発展、継続させる、お互いの文化を紹介しあうイベントを企画する、ポップカルチャーを使って文化への興味を深める、共同出資で映画を作るなど、いずれも文化交流を通じて相互理解を深めるためのユニークなアイディアが紹介されました。また、これらのアイディアをアイディアだけで終わらせるのではなく、今回自分たちが得た経験や学びをできるだけ多くの人に伝えること、そして、今回得た友人のネットワークを継続させていくことが大切だということを確認しあいました。


