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MACROCOSM Vol.76 発刊日2007年5月
 

Vol.76  2007年5月



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第1回「国際交流リーダー養成セミナー」


平成19年3月10日(土)~11(日)、(財)青少年国際交流推進センター主催の第1回「国際交流リーダー養成セミナー」がBumB東京スポーツ文化館にて実施されました。全国各地の国際交流員や学校教員など21名が参加し、異文化コミュニケーションの第一人者John Condon博士(ニューメキシコ大学理事教授)と桝本智子先生(神田外語大学国際コミュニケーション学科)の基調講演を聴講したあと、3つの分科会に分かれて実践的な手法を学びました。

◆スケジュール

3月10日(土) 10:00-10:45 開講式・オリエンテーション
10:45-11:15 参加者自己紹介(アイスブレーキング)
11:15-12:45 基調講演「国際交流と異文化コミュニケーション」John Condon 博士 (ニューメキシコ大学理事教授)桝本智子先生 (神田外語大学国際コミュニケーション学科)
13:45-17:15 分科会(A. 企画立案 B. ファシリテーションC. 異文化コミュニケーション)
19:00-20:00 交流会
20:00-21:45 グループ活動(グループ①, ②, ③)
3月11日(日) 09:00-10:00 分科会(A. 企画立案 B. ファシリテーションC. 異文化コミュニケーション)
10:15-12:00 グループ活動(グループ①, ②, ③)
13:30-14:15 全体会(グループ発表/総評)
14:15-14:50 振り返り(この研修での学び・気づき)
  • 基調講演の概要

日本の百貨店は「文化の博物館」

Condon博士が初めて異文化に接したのは、メキシコシティにあるニューメキシコ大学に入学したときのことだった。当時、博士はスペイン語もスペインの文化も全く知らなかったが、大学で体験した異文化は大変楽しく、博士の世界への見方を大きく変える出来事だったという。 初来日は40年前。日本の百貨店が好きでよく出かけて行くが、日本の百貨店はまるで「文化の博物館」のように感じる。売り場に新しい机やランドセルが並びはじめると、新学期が近づいているのが分かる。日本の春のこの光景は、昔から変わることがない。 一方、変化したことといえば、赤ん坊を背負っている母親を見かけることが少なくなったことだろう。母親がお辞儀をすれば、背負われている赤ん坊もいっしょにお辞儀をし、母と子が密着しているゆえに、母親も子もそれぞれの動きを逐一感じ、非常に密なコミュニケーションができていた。アメリカでは、子どもはたいていベビーカーに乗せられていて、母親とは距離をおいているのが通常である。 先日、男性用お手洗いに赤ん坊のオムツを換えるための台が設置されているのに気がついた。以前は、男性が子どものオムツを換えることなどめったになかったが、最近ではジェンダー(性別)の役割が変化しており、男性であってもこまめに赤ん坊の世話をする人が増えてきたためと思われる。 このように、時代と共にジェンダーの役割が変化し、それと共に人々の価値観、物事の見方も変わっていくことが読み取れる。

文化の定義

「文化」にはさまざまな定義があるが、右のピラミッドを定義として示したい。ピラミッドの底辺の部分は、人類共通の要素、ピラミッドの先端の部分が各個人のオリジナルの部分、つまり個性と呼ばれるところとすると、その中間にあたるところが「文化」と言える。

 
 
アイスブレーキング
アイスブレーキング

トランプを使ったあいさつゲーム(桝本智子先生)

人はコミュニケーションをする際に、これまで無意識のうちに身に付けてきた文化的価値観で相手の社会的地位などを判断し、自分が取るべき態度を瞬時に判断している。 この点を明らかにするために、トランプを使ったあいさつゲームをしてみよう。トランプの数字が大きければ大きいほどそのカードの保持者の社会的地位が高い、というルールを設定する。「13」のカードを持っている人が一番偉く、「1」のカードの身分が一番下になる。


①各参加者はトランプを1枚引く。どのカードを選んだかは自分にはわからない。
②相手にのみ自分の数字が見えるようにカードを持つ。
③会場内を歩き回って、できるだけ大勢の人と一対一であいさつする。 

参加者同士がしばらくあいさつをかわした後、「自分のカードが『8』より上の数字だと思う人は?」と尋ねたところ、20名中、4名が手を挙げた。なぜ、そう思ったのか理由を問うと、以下のような反応があった。


・相手の方が先に声をかけてきてくれるから
・相手が自分に深々とお辞儀をしてくれるから
・敬意を込めてあいさつしてくれるが、自分の数字がいくつなのかわからないので、どの程度のあいさつを返せばよいのかわからず戸惑った


「自分のカードの数字が『5』より小さいと思った人は?」との問いには、およそ半数が挙手した。その理由は、「5」前後のカードを持つ人と話したときの相手の反応を見て、自分のカードが「5」以下だと感じたとのことだった。

人を外見で判断する際の基準とは

人がコミュニケーションをする際、70%~90%は非言語メッセージによるものだという。「人は外見で相手を判断する」とよく言われるが、その基準はいったい何なのだろうか。相手のおよその年齢、性別、有名企業の社章など明らかに肩書きが分かるものを身に付けているといった要素から相手の社会的地位を瞬時に判断し、相手に対して取る態度を変えているのが普通である。これまでに親から教えられたり学校などで学んだりしたこと、無意識のうちに学習してきた事柄によって、自分の価値観、自分のアイデンティティが形成されていると言える。それゆえ、異文化に接した際、自分の国、自分の文化圏では遭遇しなかったような反応に直面すると、強い違和感を覚える。

非言語コミュニケーションの分類

①対人空間
②身体接触学
③身体・動作表現(手や足の組み方など)
④ジェスチャー
⑤顔の表情(6つの基本的な表情は全世界共通)
⑥視線接触学・アイコンタクト
⑦周辺言語(話す速度、口調、アクセント、話の間の取り方)
⑧時間のコンセプト(過去に重点を置く文化/現在・未来に重点を置く文化)
⑨臭覚学
⑩対物表現メッセージ(服装、化粧など)
⑥「視線接触学・アイコンタクト」は、目上の人と視線を合わせるのは失礼だとみなされている地域がある一方で、相手の目を見て話を聞くのが礼儀だと認識されている文化圏もあるということ。
⑧「時間のコンセプト」は2つに分類することができる。1つは「モノクロニック・タイム」。1つの時間には1つのことをするのが基本で、ドイツや北欧などに多い。もう1つの「ポリクロニック・タイム」は1つの時間に複数のことを行うことが多く、ラテンアメリカによく見られ、人間関係を重視する傾向がある。例えば、A氏とB氏が15時から会う約束をしていたところ、A氏の友人C氏が突然A氏を訪ねてきたとする。A氏は、B氏と約束があるからといってC氏に早目に退場願うのではなく、B氏との会合にC氏を伴う。A氏にとっては、B氏もC氏も同じように重要な友人だからというわけである。


このように非言語コミュニケーションは、どんな文化圏で育ったのか、どこの出身かによって大きく異なってくるものであり、無意識のうちに身についていることが多い。人は「自分の所属する文化」というフィルターを通して物事を見たり、判断したりしている。つまり、本人が大切にしているものがその判断の根拠となっている。それゆえに、他人が自分と異なった反応をするのを見ると驚いてしまうのである。

同じものを見ても違うものが見える

大学入学時の面接試験を担当したことがあった。男性教員と女性教員の2人が同じ学生の面接をした。後ほど、その学生について話し合ったところ、男性教員は「あの学生は基本的な生活習慣が身についていないのではないか」と言う。女性教員は「きちんとした学生に見えたが…」と不思議に思い、なぜそう感じたのか男性教員に確認したところ、その学生の靴がきちんと磨けていなかったからだという。女性教員は、面接時に学生の靴まで観察していなかったことに気づいた。ただ、たとえ、その学生の靴が目に入ったとしても、靴が汚れているからといって生活が乱れているとは思わず、靴を磨く暇がないほど、毎日一生懸命勉強していたのかもしれないと判断する可能性もあった。

①ルビンの杯

デンマークの心理学者ルビンが発表した「ルビンの杯」の絵。白い部分に注目すれば、盃が見えるし、黒い部分に注目すれば、向かい合った二人の人の顔が浮かび上がる。盃と人の顔の両方を同時に見ることはできない。 同じものを見ても、人によって見えるものが異なる。

②花見の写真

桜の木の下で大勢の日本人がレジャーシートを広げた上に座って食べたり飲んだりしている写真がある。何の写真かと尋ねると、日本人なら「花見の写真」と即答する。なぜ、花見だとわかるのかと訊くと、「桜が咲いているから」と答える。 同じ写真をアメリカ人に見せて、同じことを尋ねても、「花見」という答えはまず出てこない。たいていのアメリカ人は、写真の画面の左下に写っているたくさんの靴に注目する。たくさんの靴が脱いで並べて置いてある光景が異様に感じられるのだ。 この写真を日本に留学したことがある人、日本の文化になじみのある人に見せると「花見の写真」だと答えることができる。それは、桜の花が咲いているから「花見」をしているのだということを学習しているからである。 同じ写真を見ても、住んでいる国や地域、文化的背景によって見えるものが違うのである。

③満月にいるのはだれ?

満月のクレーターの模様が何に見えるかと問われると、日本人なら「餅つきをしているウサギ」と答える。同じことをヨーロッパや北欧の人に訊くと「人の顔」と答える。

④子どもがイスをガタガタ揺する

日本にあるインターナショナル・スクールに勤務するアメリカ人の先生と日本人の先生に「子どもの振る舞いのうち、先生が一番イライラさせられるのはどんな行動か」と質問したことがあった。アメリカ人の先生も日本人の先生も「子どもがイスをガタガタ揺すること」と答えた。「なぜイライラさせられるのか」と再度尋ねたところ、アメリカ人の先生は「イスが壊れたり、子どもがケガをしたりすると困るから」と答えたが、日本人の先生は「イスを揺するなど子どものお行儀がよくないのは、自分の指導力が足りないせいだと感じるから」と述べた。 子どもたちの同じ振る舞いを見ても、先生の感じ方はこれだけ違っているのである。

 
「ルビンの杯」の絵の出典:金城辰夫 編「図説 現代心理学入門」培風館、1990年
「ルビンの杯」の絵の出典:金城辰夫 編「図説 現代心理学入門」培風館、1990年
写真の出典:ジョン・コンドン著「カルチャー・ギャップの理解異文化コミュニケーション」 サイマル出版会、1980年
写真の出典:ジョン・コンドン著「カルチャー・ギャップの理解異文化コミュニケーション」 サイマル出版会、1980年
交流会で自分の描いた絵を相手に見せて自己紹介する
交流会で自分の描いた絵を相手に見せて自己紹介する

物事のとらえ方

特定の物事を見て、それをどのようにとらえるかは、その人の価値観が関係している。個人を大切にする価値観を持っているか、あるいは、人とのかかわり方によって、自分の役割が変わる相互依存の価値観を持っているかによっても大きな違いがある。例えば、転職することをキャリアアップととらえるか、辛抱が足りないととらえるかでは見方がまったく逆である。 価値観はごく幼い頃から形成される。あるインターナショナル・スクールで、子どもたちに「自分の家族の絵を描きましょう」と指示したことがあった。外国人の子どもたちはすぐに絵を描き始めたが、日本人の子どもたちは、周りの子どもを見回して、少し相談してから描き始めた。 このように子どもであっても、自分がどのように振舞うべきかを無意識のうちに身に付けていることがある。国際交流をする際には、状況にあわせて自分の価値観を調整していく必要がある。こうした価値観は世界に対する見方にも影響を与えている。

まとめ

「異文化コミュニケーションを学ぶということは、他の文化に興味を持つことから始まり、そしてそれは最終的には自分の文化とは何かを考えるその繰り返しなのである」


引用:ピーター・アドラーの文献より

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