macrocosm



平成28年度国際青年育成交流事業

国際青年交流会議

国際青年交流会議成果発表会及びレセプション
日程:平成28年9月29日(木)
場所:ホテルニューオータニ東京

国際青年交流会議は、皇太子同妃両殿下の御成婚を記念し平成6年度に開始された国際青年育成交流事業の一環として開催される青年たちのための会議です。

この会議は、国際青年育成交流事業により海外に派遣された日本青年及び海外から日本に招へいされた外国青年等が一堂に会し、青年の社会参加を共通テーマとし、環境、教育、文化の各分野について討論を行うことにより、青年の社会参加への意識を高め、社会活動を促し、もって参加青年の育成と国際社会の一層の発展に資することを目的として実施されています。

参加青年とお話しになる皇太子殿下
ホテルニューオータニ東京に御着になる皇太子同妃両殿下
皇太子殿下御臨席の下、スピーチをする日本参加青年代表の朝比奈友里さん(リトアニア派遣団)
ディスカッション成果発表
International Youth Conference
9月27日(火)~29日(木)

国際青年交流会議では、ドミニカ共和国、ラオス人民民主共和国、リトアニア共和国、オーストリア共和国、バーレーン王国、パプアニューギニア独立国の6か国から招へいされた49名の外国参加青年等と、9月にドミニカ共和国、ラオス人民民主共和国、リトアニア共和国に派遣された日本参加青年等48名を対象に、合宿形式のディスカッション・プログラムを実施しました。参加青年は三つのコース(環境、教育、文化)に分かれ、課題別視察やコースごとのディスカッションに参加しました。

環境コース
テーマ:水資源の持続可能な活用と循環のために青年ができる取組
南房総広域水道企業団(大多喜浄水場)を訪れ、水の浄化について学ぶ
ブラウンズフィールド(千葉県)を訪れ、水の循環についてのレクチャーを聞く
教育コース
テーマ:多文化共生社会の実現のために青年ができる取組
東京都立田柄高等学校を訪れ、生徒と交流する
異文化理解に関するワークショップを行う
文化コース
テーマ:伝統文化を継承するために青年ができる取組
裏千家東京道場を訪れ、茶道を体験する
グループで話し合った内容を発表する

地方プログラム

外国参加青年は10月1日(土)~ 10月9日(日)、3グループに分かれて地方プログラムに参加しました。ドミニカ共和国とオーストリアの青年は、和歌山県と富山県を、リトアニアとパプアニューギニアの青年は島根県と香川県を、ラオスとバーレーンの青年は函館市と大阪府を訪問しました。和歌山県、島根県、函館市では地元青年との2泊3日のディスカッション・プログラムに参加し、富山県、香川県、大阪府ではホームステイを体験し、各家庭で温かく迎えられました。

■和歌山県

日吉康文和歌山県環境生活部長を表敬訪問する
地元青年とディスカッションする
有田川町にて紙すき体験をする
地域視察・体験活動で高野山を訪れる

■富山県

蔵堀祐一富山県厚生部長を表敬訪問する
海王丸パークを訪れ、「海の貴婦人」として知られる美しい帆船「海王丸」を視察する
県内初の国際交流科を設置した富山県立伏木高等学校を訪れ、生徒と交流する
富山県のホストファミリーと共に

■島根県

犬丸淳島根県環境生活部長を表敬訪問する
教育コースのメンバーが玉湯公民館を訪れ、地域活動について学ぶ
カラコロ工房にて和菓子作りの体験をする文化コースのメンバー
松江城を訪れる

■香川県

浜田恵造香川県知事を表敬訪問する
讃州井筒屋敷を訪れ、和三盆の型抜きを体験する
水族館等の水槽用大型アクリルパネルの設計・製造をする日プラ株式会社を訪問する松江城を訪れる
高松市立亀阜小学校を訪れ、児童と交流する

■函館市

工藤壽樹函館市長を表敬訪問する
ローカル・ユースと顔合わせをする
北斗市を訪れ環境に優しい農産物と食について学ぶ
公立はこだて未来大学を訪問し、学生とディスカッションする

■大阪府

松岡豊大阪府青少年・地域安全室長を表敬訪問する
大阪大学を訪れ、公共政策研究科 松野明久教授ゼミ生とディスカッションする
ダイキン ソリューションプラザ「フーハ大阪」を訪れ、説明を聞く
新幹線のホームでホストファミリーとの別れを惜しむ

一般財団法人 青少年国際交流推進センター主催
国際理解教育支援プログラム

一般財団法人青少年国際交流推進センターでは、日本の学校等に内閣府青年国際交流事業に参加をした経験がある在日外国青年等を講師として派遣し、国際理解教育支援プログラムを行っています。

平成28年4月から9月までに実施したプログラムを紹介します。

第1回
日付 平成28年5月29日(日)
実施先 台東区立忍岡小学校
担当者 吉藤玲子校長
対象 2、3年生(83名)
目的 学ぶ意欲を持ち、国際社会を生き抜く子どもの育成~伝統文化と国際理解
プログラム 外国人講師が母国の文化を紹介し、伝統的な遊びや踊りを児童に教える。日本の魅力、よいところについての質疑応答。児童から日本の歌の紹介。
派遣講師 Ms. 李 成玲(Li Chengling)(中国)
Mr. Sao Davy(カンボジア)
カンボジアの文化紹介を熱心に聞く児童

講師の感想

Mr. Sao Davy (Cambodia)

Teaching at Shinobugaoka Elementary School is an awesome experience for me. I was very delighted to be given very warm welcome and to have presentations about my country’s food, language and culture including greeting, traditional festivals, dances, games, and clothes to Japanese pupils, grade 2 and 3 students. The students were so energetic, outstanding and cute. For instance, they were so aggressive in answering my questions and I was really surprised when they could remember how to say Khmer numbers from 1 to 10 extremely fast after I repeated two times. Moreover, they seemed to enjoy Chouk Kompeus dance (one of Khmer traditional dances) so much. Those were the main factors that encouraged me to give the lectures successfully.

Meanwhile, I had learnt a lot from them and especially their educational system. I was so impressed that meal was provided but the students were required to prepare and serve their food by themselves. In addition, they were explained what the food was made from and its benefits, and also taught to respect the producers and not to waste the food. Another interesting thing is that, they had their own toothbrush on their desk and they brushed their teeth after eating, cleaned up and rearranged all the stuffs.

サオ・ダヴィ(カンボジア)

忍岡小学校での経験はすばらしいものでした。小学校ではとても温かい歓迎を受け、2年生と3年生にカンボジアの食べ物や言葉、あいさつ、伝統行事、舞踊、ゲーム、民族衣装等の文化を教えることができて大変嬉しかったです。児童の皆さんはとても活発で優秀であり、可愛かったです。積極的に私の質問にも答えてくれました。また、カンボジア語で1から10までの数字を教えた時、たった2回の発音練習後、すぐに覚えて発音できたのにはとても驚きました。そして、カンボジアの伝統舞踊である「Chouk Kompeus」を楽しそうに踊っていたことも印象深いです。このようなすばらしい児童に恵まれたので、私の国際理解授業が成功したのではないかと思います。

一方で、私もたくさんのことを学びました。特に教育システムについてです。学校給食があり、児童が自ら給仕していました。また、給食の栄養価や食材の産地についての説明が放送で流れて、生産者への敬意、食事を残してはいけないことを教わっていたことにも驚きました。その他、それぞれの机に歯ブラシがあって、給食後に歯磨きをしたり、教室の掃除や片付けもしたりしていることが興味深かったです。

カンボジアの講師が母国の文化を紹介した後、カンボジアの踊りを児童に教える
児童がカンボジアの講師に茶摘みの歌と手遊びを紹介する
第2回
日付 平成28年6月18日(土)
実施先 品川区立清水台小学校
担当者 大関浩仁校長、脇田学先生
対象 全学年(89名)
目的
  • 国際交流活動を通して、外国の文化や立場を理解し尊重する態度を養う
  • 学習した英語を活用して、外国の方とコミュニケーションを図る
プログラム
  • 授業[低学年用]:外国人講師から母国の国旗、位置、挨拶、民族衣装、食べ物、伝統的な遊び等を紹介し、児童と伝統的な遊びを行う授業
  • [高学年用]:外国人講師から母国の国旗、位置、挨拶、世界遺産、お祭り、学校生活等のプレゼンを行い、質疑応答
派遣講師 Ms. Toukta Nanthavong(ラオス)
Ms. Pafan Julsaksrisakul(タイ)
タイの講師が母国の紹介をした後、タイの伝統的な遊びを児童に教える

講師の感想

Ms. Pafan Julsaksrisakul (Thailand)

As a foreigner living in Tokyo, I had an opportunity to be guest teacher and share some knowledge about my country, Thailand, to Japanese primary school kids at the Shimizudai Elementary School. This was the second time I applied to be a guest teacher but I was still very excited.

I was appointed to do a presentation for a lower primary school students. To my surprise, they were very enthusiastic but also well-mannered. They listened to my presentation attentively, without talking to one another. At the same time, they are eager to learn more and always curious. They frequently raised their hands and asked questions too. It is very impressive as most kids in other countries will be either too noisy or too shy, but not the kids from this school.

The most fun part is when I introduced the game, called ‘E-tak’ which is a traditional Thai game. In a normal circumstance, kids will make a paper scoop and use it scoop tamarind seeds. Who can scoop the most seeds will win the game. However, it was so difficult to find tamarinds in Japan so we used red bean seed instead. Every kids were enthusiastic to win the game, which made me very happy as it showed that they enjoyed this game.

After the class, students and teachers thanked me for giving a presentation about my country as they had learnt a bit more about Thailand. However, it is not just them that learnt something. I, too, also learnt a lot from this experience. I understood more about Japan’s education and local students. I actually saw what an actual school looks like.

I have been in Japan for more than 2 years and have experienced a lot of things, but this is one of the most unique opportunities I had in Japan. It is a rare chance for a foreigners to teach in a primary school (if they are not certified as a teacher). Hence, I am glad that I got this wonderful opportunity.

パーファン・ジュンサジサクン(タイ)

ゲスト講師として清水台小学校の児童たちにタイについて紹介する機会を得ました。私にとって2度目のことでしたが、とても興奮しました。

私は低学年の児童へプレゼンテーションしたのですが、彼らがとても熱心にマナー良く、私語もなく集中して聞いてくれるのに驚きました。また、もっと学びたいと興味を示し、頻繁に手を挙げて質問をしてくれました。他の国ではほとんどの子どもは騒がしかったり、シャイだったりするのに、この学校の児童は違うことが印象的でした。

とても楽しかったことは、私が「E-tak」というタイの伝統的なゲームを紹介した時です。母国では子どもたちが紙でスコップを作り、タマリンドの実を最も多くすくった人が勝つというゲームをします。日本ではタマリンドの木がないので、小豆を代用しました。子どもたちが勝つために一生懸命にゲームを行い、楽しんでいる姿を見て、私はとても嬉しくなりました。

授業後、子どもたちと先生が、タイのことを知ることができて良かったと感謝してくれました。しかし、私自身もこの経験から多くのことを学びました。日本の教育や児童についてさらに理解することができました。実際の学校を訪問できて良かったです。

私は日本に2年間住んでいて、たくさんのことを経験しましたが、今回の経験はもっとも貴重な機会となりました。外国人にとって小学校で教えることは、資格を持っていなければ、なかなかありえないことです。すばらしい機会を頂き、感謝しています。

ラオスの講師が母国の伝統的な踊りを紹介する
児童がタイの伝統的な遊び(小さな豆を紙ですくう)をグループで競いながら真剣に行う
第3回
日付 平成28年9月10日(土)
実施先 異文化交流サロンかぴばら
担当者 共同代表 小田明子様、山田明子様
対象 5~12歳(約20名)
テーマ 「もっと知りたい!異文化理解講座 世界ものしりハカセ~こども記者編」
プログラム
  • 準備編:児童が外国語でのあいさつやインタビューの仕方を学び、こども新聞づくりの準備をする(9月3日)
  • 交流会:児童が外国人講師に取材をし、こども新聞をつくる。外国人講師から母国の伝統的な遊びを紹介し、児童とともに遊ぶ(9月10日)
派遣講師 Ms. Aguaviva, Ma. Aileen Garado(フィリピン)
Mr. Men Vuthy(カンボジア)
児童が「こども記者」となり、カンボジアの講師にインタビューし、様々な質問をする

講師の感想

Mr. Men Vuthy (Cambodia)

In the first place, I would like to give a special thank to Center for International Youth Exchange for giving me a chance to support NPO “Kapipara” as a guest teacher. It was really precious to me that I could interact with Japanese kids and teach them some English. Besides, it was a chance for me to introduce my country to them as well. During the program, I was impressed with what they had done before class, for example, the posters they made, and Khmer and English expressions they had memorized and talked to me. Moreover, I noticed that they were so shy to be with a stranger like me at first but later on they became more friendly and energetic to make fun with me and enjoy the game, interview, and other activities. Especially, I could see they were so smart and good at drawing too; and frankly, their drawings were so funny but lovely for me. At the end of the program, they hugged and took a photo with me as our memories; most importantly, I was given a beautiful handy fan, they wrote their name on it. Attending the program, I did get a good experience and love from Japanese children. Even though they could not catch up all easy English they had learned, but I hope they enjoyed playing around in the program.

メン・ヴスィ(カンボジア)

まず、ゲスト講師としてかぴばらを支援する機会を頂いた青少年国際交流推進センターに感謝します。日本の子どもたちと交流し、英語も教え、さらに母国の紹介ができたことは、とても貴重な経験でした。子どもたちが事前学習として新聞の一部を作ったり、カンボジア語と英語で挨拶を覚えて私に話しかけてくれたりしたことにはビックリしました。子どもたちは見知らぬ私に対して初めはシャイでしたが、だんだんフレンドリーになり、ゲームやインタビュー、その他のアクティビティをとても積極的に楽しんでいました。とても賢くて、絵が上手なのも分かりました。彼らの絵はとても面白くて可愛らしかったです。プログラムの最後にハグをしたり、記念写真を撮ったりしました。そして、彼らの名前が入った美しいうちわももらったのです。このプログラムに参加して、良い経験と日本の子どもたちから愛をもらいました。たとえ、子どもたちが習ったすべての英語を聞きとれなかったとしても、楽しんで遊ぶことができたのなら嬉しいです。

受入担当者の感想

異文化交流サロンかぴばら 共同代表 山田明子

「異文化交流サロンかぴばら」は東京都北区を中心に「異文化理解」や「多文化共生」などについて、大人も子どもも楽しく学べる講座を開催している団体です。子ども向け(親子)講座としては、世界国旗、挨拶、地図パズル、英語ワークショップなどを実施しています。これらの講座の参加者より、外国人と子どもたちが触れ合えるような場がほしいとの感想が寄せられたことを踏まえ、この度、(一財)青少年国際交流推進センターのご協力のもと、「もっと知りたい!異文化理解講座 世界ものしりハカセ~こども記者編」として本講座を開催しました。

「かぴばら」としては、ただ話を聴くよりも外国人講師の母国の文化や習慣、日本での生活などについて、子どもたちが自分で考えて質問をし、話を引き出していくような講座にしたいと考え、子どもたちが新聞記者に扮し、外国人講師にインタビューをして新聞を作るという講座を企画しました。講座は新聞記事の書き方、外国人講師(フィリピンとカンボジア)の母語による挨拶を学ぶ「準備編」と、実際にインタビューをして記事を書く「記者編」の二日間行われました。記者編には外国人講師との交流タイムも設けました。

講座には年中~小学4年生までの21組45名の親子が参加。未就学児は親子で、小学生は一人で新聞のレイアウトを考え、それにインタビュー記事を書き込みました。「好きな言葉は?」「得意なスポーツは?」「日本のどこが好きですか?」「囲碁を知っていますか?」など、こども記者のもじもじ気味ながら個性的な質問に外国人講師からも思わず笑みがこぼれます。中には英語で質問する子どももいました。交流タイムでは、外国人講師の母国の遊びをし、初めて一緒に遊んだとは思えないほど盛り上がりました。講座最後の発表会ではカラフルな新聞を披露。新聞作りは少し難しかったようですが、外国人講師との触れ合いを思う存分楽しんでいました。子どもたちは作成した新聞を見返すことにより、この講座で出会った二人の外国人講師のことを思い出すとともに、そこからまた異文化や外国について新たな関心や興味を持ってくれることと思います。

インタビューした内容をもとに児童が新聞を作る
出来上がった「かぴぱらこども新聞」
児童がそれぞれの「かぴぱらこども新聞」を発表する
フィリピンの講師が児童に伝統的な遊びを教える
第4回
日付 平成28年9月12日(月)
実施先 大塚ろう学校城東分教室
担当者 小林俊也副校長、谷口真由美先生(城東分教室)
対象 全学年(23名)
目的
  • 外国人講師との交流を通して、外国の言語や文化とはどのようなものか体験する
  • 2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、児童が広く世界に目を向け、外国への関心を高める機会とする
プログラム
  • 授業[高学年用]:外国人講師から母国の国旗、位置、挨拶、多民族性、食事、学校生活等のプレゼンを行い、質疑応答
  • 授業[全学年用]:外国人講師が母国の伝統的な遊びを二つ紹介し、児童と共に遊ぶ
派遣講師 Ms. Sheue Li, Ong(マレーシア)
マレーシアの講師が母国の紹介をする

コーディネーターの感想

(一財)青少年国際交流推進センター 大久保正美

平成16年度から始まった国際理解教育支援プログラムは、今年で12年目を迎え、これまで62の教育現場で実施されてきました。第一回目の実施校は、東京都立杉並ろう学校(現在の大塚ろう学校永福分教室)でした。国際青年育成交流事業のトンガ派遣の副団長を務められた方がろう学校の教員となられ、「児童に国際的な視点での教育を」というご要望を受けての実施でした。その後の6年間は毎年実施され、21年度は3回も大塚ろう学校で国際理解教育を行いました。しかし、その後連絡が途絶え実施されずに長年経ってしまったことを残念に思い、今年当センターから再度提案をしました。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、障害を持つ児童にも国際理解教育を推進する必要性を感じたからです。打ち合わせでは、当時を知る先生方がいらっしゃらないため、当センターへの信頼やプログラムへの理解を得るところから始まりましたが、先生方のご理解とご協力により、実施内容がスムースに決まり、当日を迎えることができました。

講師選びも配慮し、今回は一般募集せずに、国際理解教育の経験が豊富なシェリーさんにお願いしました。聴覚障害を持つ児童にとって、外見・表情・しぐさなどの非言語コミュニケーションは重要だと思い、笑顔が素敵で優しい雰囲気のシェリーさんが適任だと判断しました。シェリーさんは「ろう学校での教育にあたり注意すべきことを教えてください」と謙虚かつ真摯に取り組んでくれました。

当日は私も同行しましたが、ろう学校の子どもたちが他の小学校の児童よりも積極的に質問し、自分の意見を伝える姿に驚きました。少人数制ということもあるかもしれませんが、アクティブ・ラーニングが実践されていると感じました。今回の授業をきっかけに、多くの子どもたちの外国・外国人への関心が高まることを期待しています。

講師の感想

Ms. Sheue Li, Ong (Malaysia)

I have joined the activities from International Understanding Educational programs several times. However, it was my first time to deal with hearing-impaired students. This was indeed a challenging experience for me.

When the staff of Center for International Youth Exchange and I reached Otsuka Ro (Deaf) school on 12 September, the students was studying through discussion with the help of advanced technology. The teacher was trying to make sure the students stay on task and learn the required curriculum. The students truly impress me with their independent and willing to try regardless of setbacks.

When I started my presentation about my country - Malaysia, I could see the students paid a lot of attention, they tried their best to understand my presentation through my PPT slides, as well as my lips pattern. They participated actively by asking many questions through sign languages, joining the games, etc.

I appreciate the chance to teach the deaf children and play games with them. This precious experience promote my awareness on how the special school has been developed in Japan to offer the children the ability to form friendships, peer groups, and offer them a place to communicate with each other in sign language. I truly had a wonderful time with them.

シェリー・オング(マレーシア)

私は国際理解教育支援プログラムには何度も参加してきましたが、聴覚障害を持つ子どもとは初めての交流で、私にとって新たな挑戦でした。

大塚ろう学校を訪れた時、クラスは授業中で、最新の技術を使いながら、先生と児童がディスカッションをしていました。児童がカリキュラムに沿った課題と学びを達成できるように先生が努力されていました。子どもたちの主体性と失敗をいとわない意思が印象的でした。

私がマレーシアの文化紹介を始めた時、子どもたちは発表を理解しようとパワーポイントのスライドや私の口の動きに集中して聞いていました。彼らは手話を通してたくさん質問したり、ゲームに積極的に参加したりしてくれました。

聴覚障害の子どもたちに教えたり、一緒に遊んだりできた機会に感謝しています。この貴重な体験により、子どもたちが友情やピアグループを築き、手話でコミュニケーションできる場を提供するために、日本においてどのように特別支援学校が発展したのかを知ることができました。本当にすばらしい時間を過ごせました。

受入担当者の感想

東京都立大塚ろう学校城東分教室 担任一同

総合的な学習の時間で、オリンピック・パラリンピック教育の一環として国際理解・交流を実施しました。当日は、最初に、小学部高学年の児童が集まり、パワーポイントでマレーシアの場所、服装、動物、植物、食べ物、スポーツ、遊びなどを教えてもらいました。事前学習をしていたので、場所のクイズでは積極的に手をあげて正解したり、食べ物の名前を発言したり、意欲的に学習していました。珍しい植物の写真が出てくると、体を前に乗り出して見たり、見たことのない料理や動物に興味を持ったりしていました。また、学校の制服や、普段の服装、動物にも興味を持って見ていました。講師の方のスカートがマレーシアの服だったので、より興味を持ったようです。その他にも、オリンピックの熱気が残っている時期だったので、バトミントンの話で盛り上がりました。マレーシアでは、とても人気のあるスポーツということを教えてもらい、子どもたちもオリンピックで活躍した理由が分かったのではないかと思います。

その後、場所を体育館に移し、小学部低学年も合流してマレーシアの遊びを二つ教えてもらいました。ルールを説明してもらいましたが、初めてのルールに最初は戸惑っていたようです。どうすれば上手くできるか子どもたちなりに考えて、真剣な表情を見せたり、笑い声が聞こえたりと、充実した時間が過ごせました。特に「ガラ パンジャン」では、お互いに楽しさの中にも真剣な表情で走り回って、遊んでいました。どの子も初めての遊びに夢中になって、走っていました。

最後の感想では、あまり感想を言わない児童も、手を上げていました。「楽しかった」「面白かった」「マレーシアに行ってみたい」「また、城東にきてね」とそれぞれの感想を嬉しそうに伝えていました。終わった後も、その楽しさが残っており、「また遊びたい!」とリクエストをする児童もいました。

この学習を通して、マレーシアという国に対する興味がでて、日本だけでなく世界の国のことにも興味が広がったようです。また、知識だけではなく、実際にマレーシアの日常と触れ合う機会を持てたことは、貴重な経験になりました。本当にありがとうございました。

マレーシアの伝統的な遊び「ケティンティン」を児童が体験する
マレーシアの講師がもう一つの伝統的な遊び「ガラ パンジャン」を教える
児童から講師へのお礼の手紙

一般財団法人青少年国際交流推進センターでは、独自事業として国際理解教育支援プログラムを推進しています。小中学校、高等学校、その他様々な団体からの依頼に応じて、プログラムを実施しております。プログラムの実施に興味がある方は、お気軽に当センターまでお問い合わせください。

◆問合せ先
国際理解教育支援プログラム担当:大久保 正美   E-mail: iuesp@iyeo.or.jp   Tel: 03-3249-0767
「JENESYS 2016」韓国青年リーダー来訪

11月7日(月)、外務省の対日理解促進交流プログラム「JENESYS 2016」の一環として、韓国青少年南ソウル連盟が選抜した韓国の青年リーダー35名が一般財団法人青少年国際交流推進センター及び日本青年国際交流機構(IYEO)を表敬訪問しました。

大橋玲子青少年国際交流推進センター事務局長/ IYEO会長代理から、日本の青年国際交流の歴史や国際交流の価値などを説明した後、「今回出会った日本青年はもちろんのこと、韓国青年同士の出会いとつながりを大切に」との言葉を贈りました。

大橋玲子青少年国際交流推進センター事務局長/ IYEO会長代理と来訪した韓国の青年リーダーたち35名
第13回「東南アジア青年の船」事業
日本参加青年30周年同窓会

第13回「東南アジア青年の船」事業から30周年を迎え、10月29日(土)に、日本参加青年とNL(ナショナルリーダー)23名、日本在住及び訪問中の外国参加青年3名、管理部6名、合計32名が国立オリンピック記念青少年総合センターに集いました。13回の日本参加青年はこれまでも、転勤する仲間の送別会、上京した仲間との懇親会、来日する外国参加青年の歓迎会など、その都度、一席を設けて絆を深めております。

今回の30周年同窓会は3か月以上前から、AYL(アシスタント・ユースリーダー)の富岡佳織さん(おツルさん)など関東在住者を中心に企画を練り盛大に開催しました。昼食会に続き、13時から全員の近況報告、早稲田大学大学院教授の黒田一雄君による「アジアにおける国際青年交流」についての講演、懐かしい当時の写真のスライド鑑賞、そして17時から20時まではレストランにて懇親会と続きました。5名程がオリセンで宿泊し、ハイテンションは深夜まで続きました。

30年経った今も我々「東南アジア青年の船」事業の思いと絆は、決して色あせることなく新鮮で堅固です。絆は日本国内だけでなく東南アジアにも広がっています。参加青年は、船上での体験を大切な宝物として、現在それぞれの分野で活躍しています。本当にすばらしいことであり、幸せなことだと思います。感謝、感謝。

( NL・吉田康雄(サニー))
第33回「東南アジア青年の船」事業10周年リユニオン報告
白井みどり、宮地由紀子、石田望美

第33回「東南アジア青年の船」事業の参加者は10周年を記念してリユニオン(同窓会)を2回にわたって開催しました。

第1弾として6月19日(日)に横浜大桟橋にてにっぽん丸見学会を行いました。当時の日本参加青年の他に管理部の方にもご参加いただき家族も合わせると総勢48名の参加となりました。懐かしの大桟橋に降り立った瞬間、10年前にタイムスリップしたような心地となり当時の思い出が瞬く間によみがえってきました。その後は会場を移して中華街で思い出話に花を咲かせました。

そして、第2弾は10月22日(土)から1泊2日でSIGA(SSEAYP International General Assembly)にかけてSHIGA(滋賀)で行われました。全国各地そしてシンガポールから、NL、日本参加青年、そしてその家族と10年の時を経て33回SSEAYP「ファミリー」が増えたことに驚きつつも、総勢30名で賑やかな時を過ごしました。会場となった旅館紅鮎は1999年既参加青年の山本享平さん所縁の宿で琵琶湖を臨む絶景の露天風呂や一品一品丁寧に仕込まれた美味しいお食事、居心地の良い空間に再会を祝すにはもってこいの場所でした。

集まって早々にソーラン節を踊り、そのキレの悪さに時の流れを痛感し、また夕食前には10年分の近況報告を全員で行いました。欠席となったメンバーからもビデオレターで参加してもらい、思い出話は尽きることなく夜遅くまで続きました。翌日は10年ぶりに一つの船に乗り、竹生島までの琵琶湖クルーズを楽しみ、長浜名物の鯖そうめんを食べて各自帰路につきました。

SNSでつながれるようになった今では簡単に連絡は取れるものの、直接会って話すのでは密度は全然違ったようで、帰宅後も「今までもこれからも、世界中に散らばっていても、お互いにどこかで刺激しあえる、助けあえるのがJPY(Japanese Participating Youth)」「10年が経って、歩む道はそれぞれだけど、皆と話すといつもいい刺激をもらいます」「世界のどこにいても、明るく楽しく頼もしい仲間たちがいることに改めて感謝」「皆との思い出がまた明日からのパワーに」「みんなに会うと新しいことにチャレンジしたくなる」等、余韻を楽しむ熱い言葉が飛び交い、次回の再会を約束しました。

【参加者の感想】

大学4年生で参加した私は、事業参加後すぐに社会人になりました。仲間を訪ねて各地を訪問したり、外国参加青年が来日した際に会ったりと、同じ事業に参加した仲間とのつながりを大切にしてきました。事業に参加するまでは意識していませんでしたが、社会人となった今では、仕事を通じて日本と東南アジアの関係性に実際に触れる機会もあり、10年経って改めて各国に仲間がいることで私は東南アジアを身近な存在として感じています。

今回の再会では、10年を振り返って近況報告を行い、次の世代となる子育てをがんばっている仲間、仕事に奮闘している仲間など、各々が10年間をがんばってきたことを改めて知りました。経験豊富な仲間からの刺激をパワーに変えて、次の再会を楽しみにこれからもがんばろうと思えるリユニオンになりました。(宮地由紀子)

滋賀で開催した10周年を記念したリユニオン
懐かしのにっぽん丸に当時の記憶が蘇る参加者

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